後悔しない『吹き抜けのある家』のつくり方|メリット・デメリットと成功のコツをプロが解説
『吹き抜けのある家』は、「開放感あふれるリビング」や、「たっぷりの自然光が差し込む空間」という理想を叶えてくれる魅力的な間取りのひとつです。
一方で、「冬は寒いのでは?」「光熱費が高くなりそう…」という不安の声も少なくありません。
今回は、後悔しない『吹き抜けのある家』をつくるために知っておきたいメリット・デメリットをわかりやすく整理し、実例や設計のポイントをプロの視点からご紹介します。
住まいに『吹き抜け』がある、暮らしにうれしい3つの魅力
『吹き抜け』は、ただ天井が高いだけの空間ではありません。
暮らしやすさや家族のコミュニケーション、さらにはデザイン面においても多くの効果をもたらします。
「吹き抜けにしてよかった」と多くのご家族が実感しているポイントを3つご紹介します。
明るく広々とした空間で気持ちいい暮らしに
『吹き抜け』の最大の魅力は、何といっても「開放感」と「自然光」です。
天井が高くなることで、空間に縦の広がりが生まれ、実際の面積以上に広く感じられます。
また、高い位置に窓を設けることで、時間帯によって変化する自然光を取り込みやすくなり、リビングやダイニングが一日中明るく心地よい空間になります。
太陽の動きに合わせて光の表情が変わるのも、『吹き抜け』ならではの楽しみです。
家族のつながりが感じられる間取りになる
『吹き抜け』は、上下階を緩やかにつなげる役割も果たします。
2階からリビングが見えるような設計にすることで、家族がどこにいても互いの存在を感じられ、自然な会話やコミュニケーションが生まれます。
風通しも見た目もいい。おしゃれと快適性を両立
『吹き抜け』により空間が縦に開かれることで、空気の流れもスムーズになります。
高窓を利用した自然換気や、シーリングファンによる空気循環によって、室内の温度ムラを抑える工夫が可能です。
また、梁を見せたデザインや『吹き抜け』に面した飾り窓など、インテリアとしての演出性も高く、空間に個性を加えられるのも魅力です。
後から気づきがちな『吹き抜け』で気をつけたいこと
開放感やおしゃれなデザインに魅力を感じて、『吹き抜け』を取り入れたけれど、「思っていたのと違った…」という声も少なくありません。
実際に暮らし始めてから気づく“意外な落とし穴”を、事前に知っておくことが後悔を防ぐ第一歩です。
よくある3つの悩みを通して、『吹き抜け』の注意点やチェックすべきポイントを見ていきましょう。
エアコン効きにくい?暑さ寒さとどう付き合う?
開放感が魅力の『吹き抜けのある家』ですが、一方で、夏は冷気が下にたまりにくく、冬は暖気が上に逃げてしまうことがあります。
エアコンをつけているのに、なかなか快適にならない…という声も少なくありません。
特に冬場は、リビングの床付近がひんやり感じやすく、思った以上に寒さを感じることもあります。
こうした冷暖房の効きにくさは、住み始めてから気づく“盲点”になりがちです。
だからこそ、設計段階で空調計画や断熱性能についてしっかり考えておくことがポイントです。
音が気になるかも?家族のプライバシーを守るには
『吹き抜け』によって上下階がつながるということは、音も伝わりやすくなります。
例えば、1階のテレビの音が2階の寝室まで響く、というケースがあるのです。
こうした音問題には、吸音材を仕込んだ壁材や扉の配置、床の遮音性の高い素材選びなどで対応が可能です。
また、『吹き抜け』により周りが見えやすいことで、プライバシーに欠けてしまうことがあります。
視線の抜けに配慮しながらも、プライバシーが保てる間仕切りの設計もポイントです。
掃除や安全面で気をつけたいポイント
『吹き抜けのある家』は、上階の床面積が減るため、収納や居室の計画に影響が出る場合があります。
間取りの初期段階で「どこに何を配置するか」を慎重に検討することが重要です。
また、『吹き抜け』空間に面する手すりの設置や高所のメンテナンス(照明・窓掃除)も、安全性と使い勝手の両面を確立させる必要があります。
後悔しないために『吹き抜けのある家』を建てるコツ
『吹き抜けのある家』は、工夫次第で暮らしの快適性をぐっと高められます。
ですが、単に「開放感が欲しいから」と採用するのではなく、ご家族のライフスタイルや性能面まで見据えた設計が必要です。
「やっぱりつくってよかった」と思える『吹き抜けのある家』を実現するための設計のヒントをご紹介します。
『吹き抜けのある家』をつくる目的とライフスタイルの整合性
まず考えたいのは、「なぜ『吹き抜け』をつくりたいのか」という目的です。
開放感を求めるのか、家族の気配を感じる設計が理想なのか、目的よって『吹き抜け』の大きさや位置は大きく変わるからです。
また、今だけでなく将来の家族構成や暮らしの変化も想定しておくと理想的です。
例えば、お子様が成長した後も快適に過ごせるよう、リビングとの視線の抜け具合や音環境を調整しておくこともポイントです。
「夏も冬も心地よく」吹き抜けの温度差をやわらげる工夫
『吹き抜け』は気持ちいい空間ですが、エアコンの効きにくさが気になることもあります。
そこで重要になるのが、断熱性・気密性の高さと空調の高効率化です。
家全体の温度を一定に保つことで、『吹き抜けのある家』でも一年中快適に過ごせます。
光と風をうまく取り込む窓と照明の工夫
『吹き抜け』空間では「窓」と「照明」の設計も重要な部分です。
高窓(ハイサイドライト)を設けることで、時間帯によって変化する自然光を効率的に取り込めます。
また、断熱性能の高いトリプルガラスやLow-Eガラスなどを選ぶことで、熱損失を防ぎながら明るさを確保できます。
さらに夜間や曇りの日に備えて、照明計画も立体的に考えるのがポイントです。
天井からのペンダントライトに加え、壁面の間接照明や床置き照明を組み合わせると、光に包まれた心地よい空間になります。
デザインと機能性の両立
新築・注文住宅は、特に、見た目と暮らしやすさのバランスも欠かせません。
例えば、手すりやガラスパネルのデザインは、安全性と視線の抜け感の両方を考えて選ぶと効果的です。
また、リビング階段と『吹き抜け』を組み合わせる設計も人気です。
階段を視覚的なアクセントとして配置することで、空間に動きと広がりが生まれます。
段差や手すりのデザインにも工夫を凝らすことで、家全体の印象を引き締めることが可能です。
『吹き抜けのある家』でおしゃれと機能性を実現した事例集
実際に吹き抜けを採用した住まいの中には、課題をうまく克服しながら暮らしやすさとデザイン性を両立している事例も多くあります。
成功事例の一部をご紹介します。
まるでレストランのライブキッチンのようなレイアウトの吹き抜け空間
キッチンと吹き抜けを組み合わせることで、料理をしながら家族とコミュニケーションがとれる空間が実現できます。
アイランドキッチンの上部を吹き抜けにすることで、2階からも料理をする様子を見ることができ、高級レストランのライブキッチンのような臨場感が魅力的です。
また、キッチン上部の『吹き抜け』には、木目天井を取り入れることであたたかみのある空間になり、大きな窓からは自然光が降り注ぎます。
さらに、シーリングファンを設置することで空気の循環を促し、夏は涼しく冬は暖かい空気を効率よく部屋全体に行き渡らせることが可能です。
リビングの一部のみ吹き抜け空間×キャットウォーク
リビング全体ではなく一部だけを『吹き抜け』にする『部分吹き抜け』は、開放感を得ながらも床面積の減少を最小限に抑えられる賢い選択です。
さらに、2階部分にキャットウォークを設けることで、『吹き抜け』の壁の一部と上部空間も有効活用できています。
温熱環境の管理もしやすく、光熱費の上昇も抑えられるため、経済的も考えた事例です。
リビング階段×一部のみ吹き抜け空間
リビングに階段を配置し、その周辺を『吹き抜け』にするプランは、限られた空間でも開放感を演出できる効果的な方法です。
階段が空間のアクセントとなり、インテリアとしての魅力も高まっています。
また、リビング階段により家族の行き来が自然に増え、コミュニケーションの機会が増加します。
家族とのつながり、機能性、デザイン性も兼ね備えた実例です。
理想の『吹き抜けのある家』を叶えるために
後悔しないように『吹き抜けのある家』を成功させるには、「憧れ」だけでなく性能や暮らしやすさを見据えた設計が欠かせません。
専門家と相談しながら、ご家族に最適なかたちを見つけてください。
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